大阪公立大学人文選書9 人形浄瑠璃の「近代」が始まったころ
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著者名 | 海老根 剛 |
出版社名 | 和泉書院 |
ISBNコード | 9784757610996 |
発売日/出版年度 | 2024年08月01日頃 |
商品説明
人形浄瑠璃はいつ、どのようにして「古典」になったのか。
またそれはいかなる意味を持つ出来事だったのか。
昭和五年一月、モダン建築の装いのもと四ツ橋文楽座が開場すると、それまで閑古鳥が鳴いていた文楽の劇場に大量の観客が殺到した。モダンな都市文化に親しんだ紳士淑女や学生たちからなる観客は、近代的な設備の整った劇場で、旧来の浄瑠璃愛好家とはまったく異なる態度で舞台に接し、文楽の魅力を発見していった。彼らこそ人形浄瑠璃を「古典」として鑑賞しはじめた最初の観客たちだったのだ。
昭和初年の大阪に出現した新しい観客たちに注目し、人形浄瑠璃の「近代」に新たな角度から光を当てる観客史の試み。
口絵
序章 観客から考える
本書のテーマ
昭和五年一月の「事件」
新しい観客たちの登場は一過性の現象だったのか?
本書で扱う時代と場所について
本書の構成
『浄瑠璃雑誌』について
第一章 弁天座の谷崎潤一郎
人形浄瑠璃はどこにあるのか
モダニティという観点
過渡期としての弁天座時代
『蓼喰ふ虫』に描かれた弁天座の観客たち
「新しい観客」としての谷崎潤一郎
第二章 四ツ橋文楽座の「無知な」観客たち
新しい観客の登場
プログラム冊子にみる新しい観客の認知と観劇体験の文脈化
劇場空間の近代化と観劇体験の変容
無知な観客の真面目さと「古典芸術」としての人形浄瑠璃
混淆空間としての四ツ橋文楽座
第三章 「古典芸術」としての人形浄瑠璃と新作の行方
「古典芸術」になるということ
「近来の流行語」としての「古典芸術」
言葉の来歴
昭和四年の新作論争
「古典芸術」の定義(石割松太郎)
人形浄瑠璃史の眺望(木谷蓬吟)
『浄瑠璃雑誌』における「古典芸術」と新作
四ツ橋文楽座の新作の行方
第四章 新しい観客による新しい批評
批評の刷新
近代批評の条件
『浄瑠璃雑誌』の変貌
新しい批評の風景
鴻池幸武 聞書き批評の衝撃
武智鉄二 古典芸術の現代性
中野孝一 〈私〉の刻印としての批評
祐田善雄 歴史研究と批評
大西重孝と吉永孝雄 記録と観察
終章 古典芸能から遠く離れて
四ツ橋文楽座以後の観客
「古典」としての人形浄瑠璃
古典の高い壁と大阪の観客
古典のアポリア
補助金騒動がもたらしたもの
人形浄 瑠璃を語る新しい言葉
注
あとがき