写真文学論

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商品情報

著者名 塚本 昌則
出版社名 東京大学出版会
ISBNコード 9784130800693
発売日/出版年度 2024年06月03日頃

商品説明

写真がその成立に大きな役割はたしている文学作品ーー写真文学ーーとは何かを探求する。ローデンバック『死の都ブリュージュ』、ブルトン『ナジャ』、モディアノ『ドラ・ブリュデール』、デュラス『愛人』、ゼーバルト『アウステルリッツ』などの主要作品からその核心に迫る冒険の書。
はじめに

序章 写真文学とは何か
1 顔の物語
2 小説の危機と写真文学の誕生
3 言葉によるイメージと写真イメージの交点ーー風景としての人間
4 顔の消滅、顔の出現ーー写真文学の世界へ

第1部 顔、風景、ドキュメントーー写真の中の見えないもの

第1章 風景写真の使用法ーージョルジュ・ローデンバック『死の都ブリュージュ』(一八九二)
1 無人の街路ーー風景写真の使用法
2 写真都市ブリュージュ
3 絵葉書とは何か
4 出現のモチーフ

第2章 肖像写真の使用法ーーアンドレ・ブルトン『ナジャ』(一九二八、一九六三)
1 肖像写真の使用法1--ヒロインの顔を示さないこと
2 「取り乱した証人」
3 肖像写真の使用法2--男たちの写真
4 風景写真の使用法ーー凡庸さの外観、扉としての写真

第3章 ドキュメント写真の使用法ーー谷崎潤一郎『吉野葛』(一九三一、一九三七)
1 「初音の鼓」--『吉野葛』における写真の使用法
2 虚構の手紙の写真
3 手帳の写真ーーW・G・ゼーバルト「アンブロース・アーデルヴァルト」をめぐって
4 写真は実物に似ているのか

第2部 空白のスクリーン、不在の写真

第4章 戦争の記憶、空白のスクリーンーージョルジュ・ペレック『Wあるいは子供の頃の思い出』(一九七五)、パトリック・モディアノ『ドラ・ブリュデール』(一九九七)
1 子供の写真ーー空白の部屋(ペレック『Wあるいは子供の頃の思い出』1)
2 偽りの記憶ーー批評的自伝(ペレック『Wあるいは子供の頃の思い出』2)
3 透かし模様のスクリーン(モディアノ『ドラ・ブリュデール』1)
4 ドラの顔(モディアノ『ドラ・ブリュデール』2)

第5章 不在の写真ーーマルグリット・デュラス『愛人』(一九八四)、アニー・エルノー『娘の回想』(二〇一六)
1 「絶対の写真」--行為としての写真(デュラス『愛人』1)
2 「絶望の写真」--イメージの場所(デュラス『愛人』2)
3 撮られなかった写真ーーエルノーの場合(『娘の回想』)
4 写真が作り出す現実ーーアニー・エルノー/マルク・マリー『写真の使用法』

第6章 記憶の想起と写真ーーW・G・ゼーバルト『アウステルリッツ』(二〇〇一)
1 迷子の写真ーー主人公の肖像写真
2 リヴァプール・ストリート駅の情景ーー見えない写真
3 『アウステルリッツ』と『失われた時を求めて』--見出された時と写真の使用法
4 母親の肖像

第3部 日常生活と写真

第7章 日常礼讃ーーロラン・バルト『ロラン・バルトによるロラン・バルト』(一九七五)
1 伝記素ーー私的な生活
2 写真と俳句
3 「存在の増幅器」としての写真ーージル・モラ/クロード・ノリ『写真宣言』(一九八二)
4 肖像写真に写らないもの

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